豆乳に含まれる栄養素レシチン。
レシチンを取ると記憶力を高めることでも有名ですが、
レシチンを取ることで記憶力向上以外にもいろいろな効果が期待できます。
レシチンの効果
豆乳に含まれる4大栄養成分
豆乳の原料である大豆には、大豆タンパク質、大豆イソフラボン、大豆サポニンなどと並び、大豆レシチンが豊富に含まれています。
いずれも頭に大豆の名前がつくだけあって、大豆に特に多く含まれる栄養素です。
本記事では大豆レシチンについて、豆乳に含まれる含有量や、その効果をご紹介していきます。
レシチンとは?
レシチンとは、リン脂質を含む脂質製品の総称です。
動植物の細胞膜に含まれており、細胞が次々と新しく生まれ変わる際にレシチンが使われています。
レシチンは動植物の細胞膜に存在する成分なので、すべての食品に含まれているともいえます。
レシチンは取り出される原料によって、大きく二種類に分けられます。
大豆を原料とする「大豆レシチン」と、
卵黄を原料とする「卵黄レシチン」です。
後述しますが、レシチンには記憶力を高めたり、体内のコレステロールを減らして動脈硬化を予防する働きがあります。
大豆レシチンと卵黄レシチンの違い
大豆レシチンは植物性のレシチン。
卵黄レシチンは動物性のレシチン
という違いがあります。
植物性である大豆レシチンの最大の特徴はコレステロールを含まないこと。
卵にはレシチンだけでなくコレステロールも多く含まれているため、過度に取りすぎると動脈硬化などになる可能性もあります。
せっかくレシチンが動脈硬化予防に一役買う成分なのに、その効果を卵黄自身が持つコレステロールを下げるために使ってしまうことになります。
言い換えると卵のコレステロールと卵のレシチンで、卵を食べることによる動脈硬化の発生を相殺してくれるかもしれません。
大豆レシチンの動脈硬化防止効果を体内にあるコレステロールに対して発揮することができます。
大豆から取れる成分のため、大豆アレルギーの方は気をつけてください。
卵黄レシチンの場合も同様に、卵アレルギーの方は気を付けましょう。
レシチンの摂取量の上限
添加物の国際機関である、JECFA (FAO/WHO 合同食品添加物専門家会議)は、
レシチンについて「ADI(一日摂取許容量)を特定しない」という報告をしています。
摂取量の上限がないという意味なので、レシチンをたくさん摂取しても健康上の問題は発生しにくいということになります。
何らかの症状を発症した報告がない
などの理由により、「ADI(一日摂取許容量)を特定しない」という評価になったそうです。
豆乳からレシチンを取る場合、レシチンの上限値はありませんが、
同じく豆乳に含まれる大豆イソフラボンには一日上限75mlという上限値があります。
大豆イソフラボンの上限値を超えない程度(豆乳1、2本程度)に飲むとよいですよ。
レシチンを摂取するタイミング
レシチンは様々な食品に含まれているので、
この時間帯に摂取しなければならない!
といった決まりは特にありません。
とはいえ、レシチンに限らない話ですが、朝起きたときは栄養素を吸収しやすい時間帯と言われています。
レシチンも例外ではないので、朝起きて豆乳を飲むとレシチンを吸収しやすくなります。
レシチンの効果
レシチンの効果①:記憶力向上!
レシチンを取るとよい理由の一つが記憶力が向上する可能性がある点です。
それならたくさん取らなきゃだね!
物忘れが多くなるなどの記憶力の低下が発生する「アルツハイマー型認知症」の患者さんは、アセチルコリンの活性が低下しているという報告があります。
アセチルコリンとは神経伝達物質。
アセチルコリンの原料となるコリンが不足するために神経伝達物質が少なくなることが認知症の原因の一つではないかと考えられています。
なお、コリンは体内での生成がほとんどないため食事から摂取する必要があり、アメリカでは必須栄養素の一つとなっています。
豆乳に含まれるレシチンにはコリンの一種であるホスファチジルコリンが含まれているので、神経伝達物質のアセチルコリンの量を増やすことができるのです。
コリンがアセチルコリンになって……ほすふぁじるこりん?
記憶力を良くするためには神経伝達物質を増やしたい。
⇒レシチンには神経伝達物質の材料が含まれている。
⇒レシチンを取ると、神経伝達物質が増えるので記憶力向上効果あり!
レシチンの効果②:脂溶性ビタミン吸収促進!
レシチンには乳化作用があります。
乳化とは、水と油のように普通に混ぜても混じり合わないものを、均一に混ざりやすくする働きです。
レシチンを分子構造で見ると、
親水性(水に溶けやすい)のリン酸とコリンと、
親油性(油に溶けやすい)のグリセリンと脂肪酸を合わせもっています。
そのため、水と油どちらともなじみやすいのです。
普段細胞内に存在するレシチンは、乳化作用により水溶性の栄養素と脂溶性の栄養素を溶かして細胞内に取り入れたり、逆に老廃物を細胞外に排出しています。
この乳化作用は豆乳を飲むときにも嬉しい効果をもたらします。
豆乳には水溶性のビタミンB群、脂溶性のビタミンE、Kが豊富に含まれています。
脂溶性ビタミンを摂取するには通常は油で炒めたりなど、脂と共に取る必要があります。
しかし、豆乳の場合はこれらを溶け合わすことができるレシチンも豊富に含まれているので、各ビタミンを効率的に摂取できるのです。
レシチンの効果③:動脈硬化予防!&美肌効果
上でも少し話しましたが、レシチンを取ると動脈硬化予防にもなります。
動脈硬化は血管の壁に悪玉コレステロールがこびりつき、血の流れを悪くする病気です。
レシチンは乳化作用により、脂溶性である悪玉コレステロールを乳化して血液に混ざりやすくしてくれます。
レシチンが血液中の余分な悪玉コレステロールを溶かしてくれるため、動脈硬化を予防する効果があります。
さらに、血液中から悪玉コレステロールが排除されると血流もよくなり、肌に必要な栄養素が行き届くことになるので美肌効果も得られます。
レシチンの効果④:肝機能向上!
レシチンで乳化したコレステロールは肝臓に運ばれて処理されます。
肝臓では脂質が分解されますが、肝臓の処理能力以上の脂肪が運ばれると肝臓内に蓄積され、脂肪肝という状態になります。
レシチンに含まれるコリンは肝臓が脂肪を分解するときにも必要な成分です。
レシチンをたくさん取りこむことで、肝臓中の脂肪を肝臓外に排出する機能も高まることになります。
また、細胞膜に存在するレシチンは肝臓の細胞自体も活性化させるので、肝機能を高めてくれます。
お酒好きには嬉しい効果ですね。
レシチンの乳化効果は「加工食品」や「化粧品」にも活用!
豆乳のレシチンを体内に取り入れたときの効果ではないですが、
レシチンは「レシチンの効果②」でご紹介したとおり乳化作用があるので、液状のものに粒子や他の成分を混ぜ合わせやすくなります。
そのため、加工食品や化粧品の乳化剤としても活用されています。
レシチンを使った加工食品の例
レシチンを乳化剤として使っている食品には、
マーガリン、チョコレート、 アイスクリーム類 、ケーキ、パン…
などがあります。
レシチンは体にも安全な成分なので、他の添加物のような心配もありません。
なお、レシチンの添加量も0.1~2.0%と少量の添加で効果を発揮することができます。
コストが安いという点も、レシチンが加工食品の乳化剤に使われている理由の一つです。
レシチンを使った化粧品の例
レシチンの乳化作用は化粧品にも応用されています。
乳化作用により化粧の成分が皮膚から浸透しやすくなるためです。
また、レシチンには乳化作用以外にも分散作用や湿潤作用も高いのも特徴です。
分散作用とは、化粧品の細かい粒子を液体の中で均一に分散する作用。
湿潤作用とは、粒子の表面を液体に濡れやすくし、混ざりやすくする作用。
のこと。
レシチンにより各成分同士が混ざりやすくなります。
さらに、レシチン自体に保湿効果もあるので、肌の潤いを保ってくれます。
化粧品の製造時から使用時までレシチンの各作用を活用しているのです。
まとめ
豆乳に多く含まれるレシチンについてご紹介しました。
レシチンは記憶力が高まったり、肝機能が向上したりするほか、
乳化作用もあるのでお店でよく見かける加工食品や化粧品を作るときにも欠かせない成分です。
脂溶性ビタミンの吸収力UP
動脈硬化予防
美肌効果
肝機能向上
etc…