豆乳は健康によい飲み物。
しかし飲むときにネックになるのがあの独特の青臭さ。
苦手な方も多いですよね。
気になったので論文などで調べた内容をまとめました。
リノール酸やらリポキシゲナーゼやらの化学用語が出てくる、少し理系的な内容となります。
豆乳が青臭い匂いのする理由は?
豆乳の好き嫌いを左右するのは、味よりも臭いの方が大きいと思います。
豆乳独特の大豆臭…すなわち青臭さ。
青臭さが出る理由を論文などを読んで調べてみましたが、さすが論文だけあって分かりづらさ全開でした…。
理解した内容を、図を使ったりして分かりやすくまとめていきます。
今回のお話の前提について
豆乳の青臭さは、原料となる大豆に由来するものです。
まずは大豆臭について解説する前提となりそうな基礎知識(?)をご紹介します。
大豆に含まれる不飽和脂肪酸
大豆にはリノール酸やリノレン酸などの不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。
不飽和脂肪酸は人が生きていくうえで必要な成分ですが、大豆を含む植物の光合成でしか作ることができません。
そのため、食事から取り入れるしか調達手段がなく、必須脂肪酸とも呼ばれています。
大豆に含まれるリポキシゲナーゼ
今回の主役「リポキシゲナーゼ」は、たんぱく質の名前です。
リポキシゲナーゼも大豆に多く含まれている成分であり、不飽和脂肪酸と酸素があるときに酵素として働きます。
酵素ってなに!!
「生体で起こる化学反応に対して触媒として機能する分子」
です。
豆乳が青臭い匂いのする理由【序章】
前提知識の不飽和脂肪酸とリポキシゲナーゼについて分かったところで、
本題の豆乳が青臭い匂いのする理由について説明していきます。
豆乳を作るとき、始めに大豆を磨砕して粉々に砕きます。
磨砕をすると大豆がすりつぶされ、細胞が破壊されます。
細胞が破壊されると、元々大豆内では別々に存在していた不飽和脂肪酸の「リノール酸」と、酵素の「リポキシゲナーゼ」が運命的に出会います。
豆乳が青臭い匂いのする理由【第二章】
すりつぶされているときは当然空気(酸素)があるので、リポキシゲナーゼが酵素として働くようになり、リノール酸が化学変化を起こします。
結果、リノール酸はリポキシゲナーゼによって、リノール酸13-ヒドロペルオキシドという過酸化脂質に化学変化します。
この後、もう一段階変化すると青臭くなっていきますよ。
豆乳が青臭い理由【最終章】
リノール酸が変化したリノール酸13-ヒドロペルオキシドは、同じく大豆に含まれる「ヒドロペルオキシドリアーゼ」によって開裂します。
化学式の異なる別の物質に変化すると考えて良いですよ。
n-ヘキサナールは植物の青臭さの原因となる物質です。
草刈りをすると草の青臭さが広がりますが、これもn-ヘキサナールが原因なんですよ。
豆乳の青臭さをなくす工夫
豆乳の青臭さは、
①大豆がつぶされることで細胞が破壊され、
②不飽和脂肪酸にリポキシゲナーゼが働きかけ、
③不飽和脂肪酸が過酸化脂質となり、
④そこにヒドロペルオキシドリアーゼが働きかけ、
⑤n- ヘキサナールになる(青臭い)
という理由でした。
豆乳は大豆を粉砕して作るため、どうしても青臭さが発生してしまいます。
また、一度発生してしまった青臭さはその後加熱などをしてもなくなりません。
青臭さ自体がなくなったわけではありません。
逆に言えば、原因となるリポキシゲナーゼを含まなければ青臭さがなくなります。
そこで、豆乳メーカーは青臭くない豆乳を作るために、
製造工程で加熱加圧してリポキシゲナーゼを失活させる
といった工夫をすることで青臭みを抑えています。
リポキシゲナーゼを含まない大豆を使った豆乳は、
例えばマルサンアイの「ソイプレミアム」などがあります。
まとめ
大豆が青臭い理由をご紹介しました。
原因は大豆に含まれるリポキシゲナーゼ。
豆乳作りに欠かせない大豆をつぶす工程で発生してしまいます。
しかし豆乳メーカー各社は青臭くない豆乳作りを行っており、数年前よりも飲みやすくなっています。