豆乳を買うと賞味期限が3ヶ月後以上になっていて、びっくりしたことありませんか。
豆乳と似ている牛乳の賞味期限はせいぜい1週間程度。
なぜ豆乳の賞味期限は長いのでしょうか。
豆乳の開封後の賞味期限
を製造方法を踏まえてご説明します。
豆乳の賞味期限
豆乳はとても栄養価の高い飲み物です。
栄養価が高いということは雑菌の栄養にもなりやすく、傷みやすいということでもあります。
同じく栄養価の高い牛乳の賞味期限は未開封でも数日間です。
一方で、一般的な豆乳の賞味期限は
開封済の場合:2、3日
未開封の場合:3ヶ月以上
程度といわれています。
例えば、
キッコーマンの無調整豆乳の賞味期限は180日と記載されていますし、
マルサンアイの低糖質豆乳飲料の賞味期限はなんと1年(365日)です。
豆乳の未開封の場合の賞味期限の長さに驚きますよね。
豆乳の製造方法
長持ちの秘訣は製造方法にあり!
ということで、
大手豆乳メーカーであるマルサンアイの無調整豆乳を例に、豆乳の製造方法をご紹介します。
読みながら考えてみると楽しいかも
①大豆をすりつぶす
②酵素失活をする
③豆乳を抽出
④一度目の均質化
⑤殺菌・脱臭
⑥二度目の均質化
⑦無菌充てん
以下、詳細を見ていきます。
①大豆をすりつぶす
大豆に熱湯を加えてふやかし、細かくすりつぶして砕きます。
②酵素失活をする
豆乳が持つ独特の青臭さは酵素が原因です。そこで酵素の働きを抑える(酵素失活)ため、高い温度で加熱します。
③豆乳を抽出
この時点では「呉汁(ごじる)」と呼ばれるドロドロの液体状態です。
高速回転する遠心分離機にかけることで、呉汁を「豆乳」と「おから」に分離します。
④一度目の均質化
豆乳に含まれる大豆の粒子を均一にします。均質化することで飲みあたりがなめらかになるそうです。
⑤殺菌・脱臭
豆乳を、超高温で短時間に殺菌します。また、タンク内を減圧状態にして、臭いを吸引し、脱臭します。
⑥二度目の均質化
豆乳に圧力をかけてさらに滑らかにします。
⑦無菌充てん
アルミでコーティングされた紙容器に無菌状態のままの豆乳をつめていきます。
最後にパックつめして完成です。
豆乳の賞味期限が長い理由
豆乳の賞味期限が長い理由をご説明していきます。
賞味期限を長くできる理由は3つあります。
理由①:超高温で殺菌
製造方法の「⑤殺菌・脱臭する」にて、豆乳を超高温で殺菌しています。
食べ物飲み物が傷む原因の一つは雑菌の繁殖によるものです。
逆に雑菌がいなくなれば傷みにくくなるということになります。
そのために殺菌処理の工程がありますが、豆乳の場合は超高温の130〜150度で1〜3秒ほど殺菌することができます。
牛乳は殺菌温度120〜130度で1〜3秒ほど殺菌しています。
牛乳の場合は殺菌温度が低い低温殺菌であるほど牛乳がもつ風味やコクが損なわれにくくなり美味しいと言われています。
その代わり低温殺菌した牛乳は傷みやすいです。
豆乳は牛乳より高い温度で加熱殺菌しているため、超高温と表記しているようです。
豆乳は超高温で殺菌している。
理由②:無菌充填
製造方法の「⑦無菌充てんする」にて、アルミでコーティングされた紙容器に無菌状態のままの豆乳をつめています。
超高温で殺菌した豆乳を、無菌状態のままパック詰めしているので、雑菌が入り込む余地がありません。
そのため開封するまで無菌状態を維持できるので、長期間保存することができます。
無菌のままパック詰めしている。
理由③:パックの空気遮断率の高さ
理由②と同じく製造方法の「⑦無菌充てんする」にて、豆乳を詰めるパックの内側はアルミでコーティングされています。
紙パックの場合は目に見えない大きさの穴が空いているため、空気などが通過してしまいます。その時に雑菌も一緒に入り込むことがあるので傷みやすいのです。
しかし、豆乳用紙パックは、アルミがコーティングされているので空気の遮断率が普通の紙パックより高くなります。
そのため雑菌が入り込みづらく痛みにくくなります。
内側のアルミコーティングにより空気遮断率が高い。
豆乳の開封後は傷みやすい!
未開封のときは無菌状態+外界の雑菌をシャットアウトしているので雑菌に狙われる心配はありませんでした。
しかし、一度開封してしまうと開封したキャップ部分から雑菌が入り込む可能性が高くなります。
その結果、もともと豆乳は栄養分が高いので雑菌の繁殖スピードも早くなり、傷みやすいといえます。
開封後は、賞味期限にかかわらず、必ず冷蔵庫に保管し、2~3日を目安にできるだけ早くお飲みください。
という記載があるのはこのためです。
まとめ
豆乳の賞味期限が長いのは、無菌状態を維持できるパックのおかげでした。
未開封であれば長期保存できますが、一度開けてしまうと雑菌が入りやすいので、2、3日以内で飲み切るようにしましょう。